前立腺がん 【前立腺癌】 増加傾向にある前立腺がん

前立腺がんは泌尿器腫瘍の中で最近最も増加傾向の著しい疾患です

前立腺がん【前立腺癌】

前立腺がんは高齢者に多い

前立腺がんは、日本では男性がん死亡者の約3.5%と比較的頻度の少ないがんです。
最近では、食事の欧米化および高齢化社会で、その頻度は増加傾向にあり、泌尿器科領域におけるがんでは、最も多いがんです。

前立腺がん - 【前立腺癌】について

前立腺の構造

前立腺がんとは前立腺の中にがん細胞が発見される病気です。前立腺は男性にだけある臓器で、精液の一部をつくる臓器です。これは、恥骨(下腹部に触れることができ、骨盤を形成する骨のひとつ)の後方に位置し、膀胱下側にあり、直腸に隣接しています。前立腺は、膀胱から出た尿道を取り巻くように存在し、栗の実のような形をしています。

前立腺がんの発生

がんは、前立腺の細胞が正常の細胞増殖機能を失い、無秩序に自己増殖することにより発生します。しかし正常細胞のがん化に関してはまだ十分に解明されていないのが現状です。
がんは周囲の正常組織や器官を破壊して増殖し、他の臓器に拡がり腫瘤(しゅりゅう)を形成します。他の臓器にがんが拡がることを転移と呼びます。前立腺がんが、よく転移する臓器としてリンパ節と骨があげられます。
前立腺がんの約90%は自分の身体でつくる男性ホルモンにより増殖するという特徴をもっています。


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前立腺がんについてA

前立腺がんの症状

前立腺が尿道を囲むように存在しているため、前立腺がんが発生するとその増殖により尿道が圧迫されてさまざまな症状がみられるようになります。症状としては、排尿困難(尿が出にくい)、頻尿(尿の回数が多い)、残尿感(排尿後、尿が残った感じがする)、夜間多尿、尿意切迫(尿意を感じるとトイレに行くまでに排尿を我慢できない状態)、下腹部不快感などがあげられます。がんの大きさが尿道を圧迫するほど増大していなければ、無症状のことが多くあります。
がんが尿道を強く圧迫するようになると排尿困難が悪化し、尿が出なくなる状態(尿閉)となってしまいます。
がんが尿道または隣接する膀胱内に進展した時は、その部位より出血し、肉眼的血尿がみられることがあります。膀胱にがんが進むと、膀胱刺激症状が強くなり尿失禁状態になります。

 

 

また、尿管が閉塞状態になると腎臓でつくられた尿が膀胱まで流れず、腎臓にたまって水腎症になり背部痛がみられることもあります。
また、前立腺がんは進行するとリンパ節や骨に転移しやすいため、それに伴った症状がみられるようになります。体表に存在するリンパ節に転移した場合には、その部位の腫脹(しゅちょう)や疼痛がみられます。骨に転移した場合には、その部位の痛みを生じることがあり、転移部位の骨が弱くなった時は、骨折することもあります。骨転移しやすい部位は骨盤骨と腰椎、胸椎があげられます。骨転移が広範囲に拡がると、骨髄から血液を造ることが困難となるため貧血になり、さらに進行すると血液の中の止血する成分が不足して、消化管出血などが生じることがあります。

前立腺がんのマメ知識

前立腺がんの原因と予防

前立腺がんの原因は、まだ明確ではありません。
そのため、効果的な予防法も明らかではありません。
欧米の報告によると、脂肪分が多く含まれている食事を多く摂取することにより、前立腺がんの発生が増加すると考えられています。
また、それに関連して繊維成分を多く摂取することにより、がんの発生要因を減少できる可能性を示唆しています。

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前立腺がん治療法

@ホルモン療法

前立腺がん細胞は男性ホルモン(テストステロンといいます)の刺激により増殖を続けます。前立腺がんの内分泌療法は、このテストステロンを遮断し、がん細胞の増殖を抑えようとする治療法です。
この治療法は、手術療法や放射線療法と異なり、がん細胞を完全に取り除いたり、殺してしまう治療ではなく、増殖を抑えておとなしくしてもらおうとするものです。
具体的な治療法は、テストステロンを分泌している両側の睾丸(精巣といいます)を摘除したり、定期的(4週間に1度)に注射をしてテストステロンの分泌を抑えたり、注射や飲み薬で女性ホルモン(エストロゲン)を投与する方法があります。

A放射線療法

前立腺がんに対する放射線療法には、体の外より高エネルギーのX線により治療する外照射法と前立腺の内に線源を入れて照射する組織内照射法(ブラキセラピーといいます)があります。
放射線療法は、手術療法と比べて尿失禁や勃起機能不全が起こりにくいとされています。ただし、前立腺は体の内に残っており、がん細胞が完全に死んでいるかどうかは判りません。
合併症は、治療中に起こる場合(早期合併症)と治療後しばらくたってから起こる場合(晩期合併症)があります。

B化学療法

ホルモン治療が有効でない症例や、ホルモン治療の効果がなくなった時に行う治療です。
点滴を用いる場合は、通常2種類以上の抗がん剤を用いて、8週間以上行います。ホルモン療法と同じように全身に作用しますが、効果が続く期間が短く、有効性を認めない医師も多くいます。

C手術療法

がんが前立腺内に限局している時、手術によりがんをとり除く方法です。下腹部を切開し、恥骨の裏側にある前立腺を摘除し、膀胱と尿道を吻合します。この時、リンパ節に転移があるかを調べます。がんが前立腺被膜を少し越えている場合でも、転移がなければホルモン治療を併用して手術をすることがあります。